1
 >ホーム   >英語とカタカナどう違う?




  Q  発音も文化でしょう?

  これは
  
英語の世界エルハザードのMAKOTOさんの質問に答えたものです。             

                         

■MAKOTO ちょっと心配な事があるのでお聞きします。

■UDA ご遠慮なく、どうぞ。

■MAKOTO 僕が心配しているのは、例えば自分の聞ける音が半分の人と全部の人が
いた場合、前者はいくら文法や語彙を鍛えてもやはり後者の人には
かなわないのか、ということです。

■UDA エー、質問の対象がやや不明瞭なので、一般的に答えます。

知識と言語習得、そして対象の英語レベルなど、観点により様々な
評価が出ると思います。

言語習得の場合には、音が聞き取れなくては文字通り
「話にならない」でしょう。試験の点数には、少なくとも短期的には
大した影響はないと思います。

また、英検1級などのハイレベルの語彙習得にも、聴力はあまり重要
ではないように思います。聞こえなくても覚えることはできるからです。
            
TOEICの高得点者、英検1級取得者でさえ、「
映画が聞き取れない
と嘆くことが多いのは、その裏付けではないでしょうか。

■MAKOTO 毎日時間以上、年間リスニングしてなんとなく分かってきたというのは、
もちろん語彙や文法やスピードに慣れたということもありますが、もし単に
音に慣れたのであれば、UDAさんのように、そこを集中して鍛えた方が
はるかに効率がいいと思ったのです。

■UDA そうですね。でも、その「慣れ方」が問題です。

文字を「英語の標準とされる音声」で認識していれば、大変けっこうなことです。

     しかし、例えば
    
of を見て、オブという音が響く場合、   

     
日本語の音で英語を聞いているので、聞き取れない場合が
     多々あるであろうと推測されます。

その場合、1つのスペルまたは文字に対して、英語と日本語との二重の音声
を持つことになり、頭の中で大変やっかいな作業が必要となります。
            
一言でいえば、聞いて英語を覚えにくい状態であろうと思います。

■MAKOTO 実際、海外に長期滞在している方でも映画のリスニングは半分も出来ないと
聞 きます。ところが映画は内容によりますが、小学生でも簡単に理解できます。
            
小学生よりも文法や語彙が足らないとは考えにくいので、
やはり正しい音を知らないことが分からなくしている要因なのでしょうか?
■UDA 正しい音を知らないことと、文字に対する誤った音が主な原因で、その他、
スピード感の違い、音の変化としてのイントネーションの認識力などが原因で
あろうと考えています。

                

■MAKOTO ホームページには”文字を使った方がよく記憶できる”とありますが、
記憶を助けるための手段として文字を使うと考えていいのですか?
■UDA それだけではなく、音を認識する手段としても、文字を使った方が
            
音 → 反射的理解 が促進されるであろうからです。

例えば、あいまい母音や、apple のa のように日本語にない音を個々に認識する
場合には発音記号を知っていた方が早く習熟できます。

                

■MAKOTO 音と理解の関係はとてもよく分かったのですが、音と文字の関係が理解出来ません。
まり音(耳)→理解(頭)という作業の間にはもう1ステップあり、
            
音(耳)→文字(頭)→理解(頭)

という風に頭の中で一度文字に変換してから認識しているということでしょうか?

■UDA 英語の場合、音 → 理解 と、反射的に行えるようにするためには
            
       音 →文字 → 理解

とするステップが必要で、その場合、音=文字が望ましい前提となります。
            
ちなみに、カタカナ発音をそれを阻害しています。

■MAKOTO 日本語を話しているときに文字に置き換えているという自覚はないのですが、
どうなのでしょうか?

■UDA 上記の問題を認識しているかどうかが英語学習の効率を左右し、
場合によっては1つの壁になっている重要要素であろうと考えています。
            
「音声認識」は熟知したものと、そうではないものに区別する必要があります。
            
確かに、通常は、習熟した母国語は文字の意識はないでしょう。
しかし、聞き慣れない言葉や、初めて聞く言葉の場合は違うはずです。

    例えば、初めて「キョクガクアセイ(曲学阿世)」という言葉を聞いた場合、
     その言葉を認識する場合には文字が必要なはずです。      
      
     また、頭の中で「キョクガクアセイ」と反復する場合にも、文字を意識した
     「頭の中の音」になっているでしょう。

     (このプロセスは頭の中なので、瞬時に行われていると思います)


逆に、文字がなく、単なる音列の場合には、初めて聞くメロディ同様に、
大変覚えにくいものとなるでしょう。

英語を聞き取る場合、映画のセリフがあまり聞き取れない状態であれば、
なおさら、

音 → 文字 → 理解

とするステップが必要で、それは


       音 → 理解

と反射的に行えるようにするためのものです。

慣れれば文字は無意識状態になるのですが、いつでも文字に表せる状態
になっているでしょう。

この場合に、スペルを日本語の音で発音したり、英語の音を聞いて
日本語の音に転換していると、リスニングがニガテという英語難聴症候群となり、
少なくとも聞いて覚えることが困難になります。

   これらは表面的にはリスニング・音ということですが、もっと根本的には、
    よその国の文化の受け入れ方の問題であると思います。
     
    つまり、英語を学ぶのであれば、
    私たち日本語とは異なる発音方法をもつ文化の発音方法を    
    
そのまま受け入れてみたらどうでしょう、ということです。

    現状は文字、文法などは異文化として受け入れていますが、
    音声だけは受け入れない/ 受け入れられないために、
    英語学習がやっかいな要素を持つに至っているのではないでしょうか。

■MAKOTO 大変貴重なご意見、ありがとうございました。
これから僕の意見もまとめたいと思います。

■UDA まとまったらぜひ、聞かせて下さい。



                          それから数日して・・・



■MAKOTO こんにちは。また質問です。

■UDA はい、何でしょう?

■MAKOTO 英語の音声を聞き分ける訓練をする際に、声に出して読むことは
学習の妨げにはならないのでしょうか?


自分の声が頭に刻み込まれて、学習効率が落ちませんか?

■UDA それは「自分の声」次第でしょう。

mother(ア) と fathera(アー) が同じ口の形で出す音であったり、
birdir が「アー」となっている「カタカナ発音状態」では妨げになると思います。
            
ネイティブと同じではなくても、「開く音」と「狭い音」の 区別をし、強い子音、
鼻音が出せれば大丈夫であろうと思います。
            
※ 「開く音」と「狭い音」は文字ごとに区別すると効果的です。

■MAKOTO 学習者が典型的なカタカナ発音の持ち主だとします。

その場合、声に出して学習すると、自分のカタカナ発音が再びインプットされて
学習効果が落ちる気がします。

最初は音=文字にするために聴くことに専念して、ある程度、
英語の音が認識出来るようになった段階で自分の声を出す方がいいと思います。

それでも声に出した方が上達は早いのでしょうか?

                    ■

■UDA この質問は発想の根底に、

「発音は難しい/習得に長い時間がかかる」を前提としているようなので、
まず、そこから。

ある程度の段階」ですが、
30音トレーニングは、直接トレーニングした場合、
「学習者が典型的なカタカナ発音の持ち主」だとしても、
個々の文字の音を覚えるだけならば数時間で終わります。

※ 30音トレーニングは「文字を見て、聞いて声に出す」が基本です。

もちろん、カタカナ発音ではいくらインプットしても労多く実り
少ないのは当然です。しかし、カタカナ発音の修正は比較的
たやすいことを認識して欲しいと思います。

(注:「ネイティブと同じような発音」を目指すと手間暇はかかります)
                 


結論は、

標準的な、正しい発音方法で声を出す方が上達は早いと考えています。            

■MAKOTO なるほど。また考えてみます。

■UDA ご連絡、お待ちしています。

<<前へ                                 >>次へ
                                 ページのトップへ
  Copyright (C) 2009 Yutaka UDA. All rights reserved. 著作物の無断掲載、転載を禁じます。