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● もう一つのきっかけ |
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日本を離れて約半年、ようやくアメリカ生活になれてきた頃のことです。
バーで日系人に出会い、
「私の英語はなぜか通じない」、と日本語でグチをこぼしてみました。
何か言うようにとうながされ、それまで何度も使い、
一度も通じたことのない
Wait a minute, please.
を言うと、やはり首をかしげられました。
そこで紙に書くと、
"Oh, ウエイラ・メネッ!!" と、あきれているのです。
「ウエイト・ア・ミニット」とはあまりに異なる響きに私も驚き、何度か、くり返してもらいました。
そして、初めて英語の正体を見たような気持ちになり、その晩の飲み代は私が払いました。
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● 発見、また発見 |
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Wait a minute, please.
は、発見にあふれる刺激的な文となりました。
私の発音は、ひいき目に聞いてくれる日系人があきれるほどひどい、ということ。
私の「発音記号どおりの正確な発音」とは英語のカタカナ読みであったこと。
ネイティブは Wait a を「ウエイラ」のように、
minute を「メネッ」のように発音する。
つまり t と i は、日本で習い覚えた音とはまったく別物であったこと。
また、自分ではしっかり言えていたつもりの Please は "Pull ease"
と発音している、との指摘を受け、
P と l の間に余分な音を入れていることを初めて知りました。
音だけではなく、スピードとイントネーションもちょっとしたコツをとらえました。
日本語の「ウエイト」よりも
"Wait a minute."の方がやや速く、
Wait を強く、イッキに言う。そう言えば通じる。
「何だ、そうだったのか!」 がぜん、気分は勇気と希望にあふれる青年のものとなり、
改めてゼロからのやり直しが始まりました。通じる音の追求です。
カタカナ発音は英語ではない。
Please が Pull ease となるように、スペルが変わってしまう。
通じたらおかしい。英語には英語の音がある。英語なんだから。
そう確信するようになったのです。
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