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30音トレーニング感想文
仕事の関係で急遽米国に渡ることになってから1年が経った頃.当初は1年も現地で生活すればテレビくらい分かるようになるものだろう,などと高をくくっていましたが(英語学習のなんたるかを全く知らないことが良く現れていると思います),半分も聞き取れるようにならず,キャプションを見て理解する(聞いているのではなく,読んでいる)のがせいぜいでした.
さすがにまずいと思い,インターネットで知った30音DVDやParrot’s Lawなどを自分なりには試して来ましたが,2年が過ぎてもリスニングも,ましてやスピーキングなど不自由な生活が続いていました.今回幸運にも発音トレーニングを受ける機会に恵まれ,独学で煮詰まっている状態に風穴が開けられればと期待して当日に臨みました.
結果は...
トレーニング当日のUdaさんの日記にも記された通り,私の問題点はこれまで受講された方々となんら変わるものではありませんでした.リズム,音程,スピードなどの不十分さ,つなげるところ,開く音,母音+Rの発音,カタカナ語の思い込み,など,過去の体験レポートそのものです.そのため私個人の注意点を仔細に述べることにはあまり意味がないようです.
トレーニングを受けることで,自分の独習の方向性を修正する指針を得られたことは何より大きなことでした.自分の耳が誤って認識して,自分の中で作り上げた<偽のお手本>を,自分では正しいつもりで反復することは,誤った発音を自分に刷り込んでいることになり,百害あって一利なしかもしれません.
自分で認識しているお手本の発音が,Udaさんの認識とはえてして異なることを,トレーニングを通じて知ることが出来ました.また,はっきりと「いいですね」「いや,さっきの方がよかった」「まだだめ」「それです!」などと評価してもらえることも,トレーニングを受ける上での醍醐味と思います.
そしてUdaさんが日本人の視点から,米国人の発音の特徴をときに誇張して示して下さったその音色も,日本人である私にとってとても理解の助けになりました.
英語学習でも学習時間のほとんどは独習ですから,いかに自分で自分の改善すべき点に気が付きながら学習を進めて行けるか,ということが大事になると思います.
今回のトレーニングを受けて,私があらためて疑問に思ったのは,なぜ誰もが同じことを指摘されるのか,体験レポートを読んだり,30音DVDを自分なりに使用して訓練したりしているにも関わらず,なぜトレーニングを受けるまで自分で自分の(そして他の誰とも共通の)誤りに気がつけないのか,という点でした.
おそらく,みんな日本人だから問題点も共通,というのが一番の答えでしょう.加えて私が思う独習の盲点としては,お手本は何百回と聞いても,自分の発音を同じくらいじっくり聞いたことがないこと,お手本と自分の声をじかに(しかも部分的に取り出して,さらには視覚的に)比較したことがないこと,個々の音に注意するあまりリズムやイントネーションが疎かになりやすいこと,ではないかと思います.
トレーニングでは波形ソフトを用いて,お手本と自分の声のグラフを上下に並べ,部分的に続けて再生して比較したり,波形の違いを見比べたりしたため,自分では真似ているようでも,実はお手本とは全然違うことが歴然と分かりました.
今回Udaさんが実際どのように波形ソフトを使われているかも見られたため,帰宅後Udaさんのホームページのリンク等から無料の波形ソフト,WaveSurferとSpwaveをダウンロードして練習することにしました.
今のところ使用してみての感想としては,WaveSurferは録音機能があり,イントネーションも描出できるのですが,やはりUdaさんがテキスト中に描かれる高低のグラフの方がイメージしやすいようでした.また録音を保存する時に少し工夫がいるようです.Spwaveはそれらの機能は欠きますが,音質もまずまずでお手本との比較に使う分には困らなそうです.
しかし,波形ソフトを使用しながらも,結局聞いているのは自分の耳であることが再認識されます.トレーニング中はUdaさんがメロディーラインを声に出して下さったので分かりやすかったのですが(でもそれでは自分の耳ではなくUdaさんの耳で聞いていることと同じなのですが),独習では何度もハミングしてみないとなかなかつかめません.
また,自分で自分に合格点を出したり,「まだだめ」と判断したりすることの困難さもときに感じられます.いつか,波形ソフトを使用してみてもまた煮詰まった際には,再トレーニングをお願いすることになるのかもしれません.
独習に較べトレーニングを受けることは,はるかにダイナミックな展望の変化を得られると思います.独習で行き詰まった時,南房総に赴かれてUdaさんのプロのトレーニングを受けられることを,これを読まれている全ての方にお勧めします.そして,Udaさんには,発音トレーニングにも匹敵するような教材を,いつの日か世に送り出して下さるよう,心からエールを送らせて頂きます.
最後になりましたが,朗らかで可愛らしい奥様にも御礼申し上げます.
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