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脳に認識を改めさせることが、発音改善の第一歩!
今回私がトレーニングを受けて痛感したのは、知らぬうちに脳にかかっているフィルターを意識的に取り去る作業が、英語の発音やリスニング力改善の第一歩になるということでした。
脳は、繰り返し同じ入力をすると、一定の省力フィルターを作って、それを通すことで処理効率を良くしてゆきます。そのフィルターを通る際に重要度低と判断されてしまうと、見えているのに見ていない、聞こえているはずなのに聞いちゃいないという状態になります。
この省力フィルターは、英語の発音に関する場合、日本語フィルターであり、思い込みフィルターであり、これらのフィルターを通じて脳は機械的に処理してしまいます。
ですから、改善するためには、脳にこれまでの処理の仕方が誤っていることを悟らせ、フィルターを使わないよう訓練しなくてはならないということを実感しました。
極めて強力な日本語フィルターの持ち主だった私。
私は今回トレーニングを受けるまでは、自分の発音がここまでひどいとは正直、思っていませんでした。
海外生活経験はゼロですが、これまで発音に関する教本は30音を含めて5冊くらいは仕上げ、数箇所で発音矯正講座を受けた経験もあり、”モーツアルトで英語耳”の例の機関でも、発音筋肉トレーニングを謳い文句に発音矯正機関を運営している某ウォーカー氏にも、かなり高い評価をもらって、日本語の影響は少ないと言われたし、英会話学校の教師にも、個人的に雇っているネイティブにも、r
と l、b と v が怪しいけれど他は全然問題ないよ、と言われており、通訳養成学校の先生にも発音はOKをもらっていたですが・・・・
ところが、今回のトレーニングでは、先生に開口一番
「オリジナルすぎてコメントのしようがない」の最低評価をいただき、
「この平坦な調子は●●節」とでも表現すべきもので
「日本語フィルターは極めて強力」。
おまけに私の英語は
「暗い、怖い、きつい! 強烈です」と、
これまで誰も指摘してくれなかったことを、思いっきり指摘していただき、
(明るい、楽しい、感じがいいと言われることはあっても、暗いと言われたことは一度もない私なのに・・・) え〜?!という感じでした。
しかし、トレーニングが進むにつれて、それが純然たる事実であることを自分で認識してゆくのでした。
英語にはメロディーがあった!
私の英語が平坦だと言われたとき思ったこと、それは
「強弱には気をつけているし、課題はボイスオーバーでちゃんと練習して同じ調子で言えるようにしたし、何より録音してチェックしているけど、平坦じゃなかったけど」ということでした。
恐ろしや〜!
トレーニングを終了した今では、自分でもはっきりわかるこの平坦な様子が全然わからなかったのです。本当に思い込みって怖いです。
今振り返って理由を考えると、“イントネーション”の定義が違っていたようです。
私の知っているイントネーションは、日本語で「〜ですか?」と質問する時や、柿と牡蠣の違いくらいの、平坦日本語イントネーションだったので、英語の音を無意識にこの平坦日本語イントネーションに変換して発音して、イントネーションをつけているつもりになっていたのです。
ですから、自分で聞いてチェックした際、確かに自分のイントネーションには何だかわかないけれど変な点があるという印象は持っていましたが、間違っているにせよ何らかのイントネーションはついていているし、平坦ではないと思い込んでいました。
この思い込みフィルターがとれたのは、ピアノの音をまねるよう言われ、英語の例を示してもらって、英語にはメロディーがある、と説明していただいたときでした。
その時、英語に幅の広い音域があることに気がつき、自分がイントネーションと思っていたのは、ほとんど拍(ビート)の部分であり、自分の英語は、メロディーのある音楽を打楽器で真似ているようなものだと理解しました。すると突然、録音された自分の英語が、とっても平坦に聞こえるようになったのです。
強弱? つけてますよ!?
また、前置詞や代名詞は弱く発音する、という知識は当然ありました。
だから、beat his dog の his はhが落ちて、弱く発音するべきで、ちゃんとそうしているつもりでした。
ですから、hisの方が強いと指摘されたとき、そんなはずはないと思い、録音された自分の発音を聞いても、ちゃんと弱く発音していると感じました(恐るべし、思い込みフィルター!)
しかし、英語の波形を図に描いて説明していただき、同時に音階のわかるようになった耳でお手本を聞いてみると、his の部分は音階も落ちていることがわかり、こういうことがイントネーションを弱くすることなのかと理解できるようになりました。
いくら自分では息を弱くして発音したつもりでも、音階が一緒だと、平坦で強く聞こえるのだなということも、わかりました。これも、自分ではちゃんと弱くしているつもりだったので、指摘されなければ思い込みフィルターがかかったままになってしまうところでした。
フィルター体験
また、トレーニングの場ではフィルターがかかるのも体験しました。
弱く発音される部分を抜き出して聞き、ちゃんと発音されていることを確認したあと、全体を通して聞くと、先ほどちゃんと発音されていた音が、すっかり消えてしまうのです。こんなフィルターがあったら、何百回繰り返してリスニングしたところで、聞けるようにはならないと実感するのに十分な体験でした。
指摘してもらうことが大事
このように、今回のトレーニングでは、脳の思い込みフィルターや省力フィルターを、意識的に脳に気づかせてやることよって取り去っていくことが、発音やリスニングを改善する上で非常に重要だということを実感しました。
それが、波形ソフトを使いながら細かく区切って音を確認していく作業であり、スピードを上げて聞く作業です。しかし同時に、かかっていることに自分で気がつくことが非常に困難なフィルターがあるということもわかりました。気がつくには、的確な例とともに明確に説明してもらうことが必要です。
このレポートを読んでくださった皆様には、私のように無駄な練習に膨大に時間を費やすまえに、房総に出向いて、まず発音トレーニングを受けて、先生にびしばし指導してもらうことをお勧めしたいと思います。
最後に
私の英語が、暗くて、怖くて、きついことを、遠慮なく指摘してくださった先生、どうもありがとうございます! 言われなかったら、この先ずいぶん損したのではないかと思います。
英語は、眉をあげつつ、できるだけ明るい調子で発話するよう心がけます。また、声の調子が大事だということを痛感したので、日本語を話す時も気をつけるようにしようと思います。
(もしかしたら、日本語で話しているときも、暗くて怖いのに、恐ろしくて誰も言えないだけなのかもしれないし・・・・・)
いろんな意味で非常に有益でした。心から感謝しています。
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