30音トレーニング

       SAI さん体験レポート(1)


2001年の12月に、「映画の聞き取り100%」を目指すSAI さん
  から意外なメール。



 「ところで、本当に発音ができているのか不安になってきました。
 3年間、独学でやったせいか、伸びは遅いです。

 あと、できればお願いしたいのですが、会社の先輩が仕事に英語が
 どうしても必要で、発音とリスニングをどうにかしたいと言ってきました。
 時間がもし取れれば発音トレーニングを」


■ 2001年は年頭から「30音トレーニング」の改良、仕上げに取り組
  んでいたので、直接トレーニングは、ほとんどお断りしていました。

  それも一段落したし、他ならぬSAIさんですから、
  撮影の終わる12月最後の週末、先輩を中心にトレーニングを、と
  いうことになりました。

  が、撮影がずれ込んだために、日程を直前に変更。先輩の都合が
  つかず、SAI さん単独のトレーニングとなりました。


  以下はその体験レポートです。





     ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。

     淀みに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくと

     どまりたるためしなし。


                           『方丈記』、鴨長明


                *  *  *

私の好きな古典の中でも、一番のお気に入りが方丈記の冒頭部分
です。私にとって、英語、特に「音」はうたかた(泡)のようなものです。
浮かんでは消えていくはかないものなのです。

英語学習歴はかれこれ10年になります。
高校1年時にSIMという教材で英語に目覚めて、大学時代はESS
のディスカッションチーフとして活躍し、その後も数多くの指導者に教
えを請いました。

大学院時代には「英語の世界エルハザード」というゲーム感覚で学習
する風変わりなサイトを約3年間(1998−2001)オープンしました。
どうしても洋画を聞き取りたいという思いがあったからです。

結局、3年間で300本以上の映画・海外ドラマを学習しました。
サイトはいくつかの雑誌で紹介されるまで成長しましたが、10万アク
セスを超えたところで閉鎖しました。リスニングはこれ以上学習しても
伸びないと思ったからです。

何か根本的なところで間違っていると思いました。

                *  *  *


私の学習法は、
ひたすら洋画と海外ドラマを見る
と言うものでした。

スクリプトでのチェックもかかせません。

最初の1年間はリスニングが急激に伸びました。
サイトをオープンして半年後に、TOEICを受けましたが初回から
755点でした。前日に解答を見ながら問題を見るだけでしたので、
通常の学習よりは速く英語力がついていたのだと思います。

その半年後にTOEICをもう一度受験しました。
今度は850点と100点近く伸びました。
半年で100点近く伸びるのはそう簡単なことではありません。

しかし、私の求める英語(洋画を聞き取る)はTOEICにはなかった
と思い、それ以来2年半、TOEICは受験していません。

私のサイトは登録制で100人近く登録者がいました。
オープン時にTOEICのスコアが700点台だった人のほとんどが、
閉鎖直前には900点以上・英検1級を持っていました。
これだけ効果が出る学習はなかなかないと思います。

ひたすら英語をインプットする方法でも、その位までは上達できる
のです。資格を取りたいのであればそれでもいいと思います。しかし、
ほとんどの人が私と共通の悩みを持っていました。

   洋画が分からないのです!!


                *  *  *


洋画・海外ドラマは3年間で300本以上見ましたが、実際にはそれ
以上見ていました。これらのうちのいくつかはテープに録音して、何
度も繰り返しリスニングしていたからです。

延べ本数では1000本を超えると思います。
1日1本見ていた計算になります。

その間、NHKのラジオ講座をはじめ、ほとんどの英語教材には手を
出しませんでした(続かなかった)。

そこで、このような学習を行うと、リスニングにどう影響するかを次に
説明したいと思います。


1年目

1年目はTOEIC755−850でした。
全くお手上げだった洋画が5割くらいまで聞けるようになりました。
特に、海外ドラマはかなり聞けるようになりました。

ビバリーヒルズ(90210)という海外ドラマをご存知でしょうか。
このレベルでは、主人公のブランドンの英語は聞き取れません。
他の出演者の英語は聞き取れるようになります。

タイニックはまだ難しかったのですが、ジャックとローズの会話は
聞き取れました。この頃はリスニングが楽しくて、たまらなかった
です。


2年目

TOEICはもう受験しないようになりました。
洋画は5割ー7割まで聞けるようになりました。

Ally Mcbealという海外ドラマであれば、7割以上分かるようになり
ました。また、ビバリーヒルズのブランドンの会話がようやく聞き取
れるようになりました。

それまではモゴモゴ言っていただけだったのに、はっきり英語として
聞こえるのです!
これには感動しました。
しかし、この学習法ではこのあたりで頭打ちします。


3年目

最後の1年間は、実力がほとんど変わりませんでした。しかし、
Ally Mcbeal は毎週見ていたので、かなり聞けるようになっていまし
た。これは、口語表現をたくさん覚えたから聞けるようになったよう
です。同じドラマを見続けると、背景知識や表現などから「聞けて」し
まいます。

実際、他の洋画を見ても聞き取りはあまり変わっていないことが分か
りました。

この頃は、口語表現をたくさん覚えていました。

確かに、
口語表現をひたすら覚えるという方法でも、映画の
リスニングは伸びます。


しかし、前置詞や助動詞などの細かいリスニングになるとお手上げ
です。また、発音が悪いと相手に通じません。

ようやく
「発音」に問題があるのではないかと思うようになってきました。


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