30 On Training Reports


 #73
文恵さんの場合
  
   30音DVDを購入した文恵さんからお問い合わせ。

   「まだ 30音DVD をきちんと終えていないのに、
   発音トレーニングを受けるのは、予習不足というか、もったいないと
   いうか、そういう気もするのですが、いかがお考えでしょうか。
   トレーニングを受けるとしたら、もう少しDVDに時間をかけた後での
   ほうがよいのでしょうか」。

   もちろん、早い時期の方が効果的、ということでトレーニングとなりました。
    

 30音トレーニング 体験レポート

 まずトレーニング冒頭で、課題の文章の発音を録音したのだが、お
 手本の発音と自分の発音とのあまりの違いに、愕然としてしまった。
 もちろん、全く同じようには発音できていないと自覚はしていたものの、
 もう少し「似ている」はずだと自分で思っていた。

 しかし、波形ソフトを使ってのお手本と自分の発音とを聴き比べると、
 それは全く違う音だった。

 「エー、こんなはずでは…」
 トレーニング早々、くじけそうになってしまった。

 ここで、トレーニングが1人ではなく、3人だったことに救われた。私が
 聴けば上手だな、と思う人でも、やっぱりお手本とはかなり違っていた
 し、他の人が頑張っている姿に自分も励まされた。休憩時間ではお互
 い慰めあったり、関係ない話題で気分転換もできた。

 ワンセンテンス、ワンワードを一音一音細かく区切ってのリスニングと
 発音練習は、とても大変だったが、すごい方法だと思った。自分でお
 手本の真似をしているときは、ワンセンテンス通して発音していた。

 だが一音一音区切ってていねいにやっていくと、全く違った発音をして
 いた自分に気づき、直してもらい、何度もその部分だけを真似していく
 と、お手本と同じような発音ができるようになっていくのだ。
 「そうか、これなんだな」と心の中でつぶやいていた。

               


 さて、私の一番の問題は、「聴こえたとおりに発音しない」ということ
 だった。

 つまり、例えば、お手本が
 「I didn’t 〜  」を「アイディン〜(次の単語とくっつく)」と発音していた
 とすると、私の脳は勝手にこれは「I didn’t なになに」という文章だ、と
 認識してしまい、お手本の発音とは違う、
 「アイディドントなになに」という、頭の中に浮かんだ文章を読んでしま
 うのだ。

 これは鵜田さんに何度も指摘されたが、トレーニング中には直らなか
 った。(ずーっとこうやって勉強してきた(させられてきた?)んだから、
 すぐには直らないよねー)

 しかし、やっているうちにわかってきたことは「これは音楽なのだ」と
 いうことだった。

 私は聴いた音を、意味をとろうとして、頭の中で自分の知っている単語
 に変換してしまう。そして、その単語の発音はこうだ、と自分が覚えて
 いる音を発しているわけだ。それでは、一向にお手本どおりにはなら
 ないはずだ。

 発音練習は、言ったことの意味を理解することではなくて、例え全然
 意味がわからなくても、聴いた通りに発音できるようになる、つまり
 メローディーを覚えるように、同じように歌えるようになる、ということ
 なのだな、と思ったのだ。

 なまじ単語を知っていると、どうしても脳が聴いた音を知っている単語
 に変換したがってしまう。このことが私の一番の課題だということに気
 が付かせてもらった。

 その他、英語をしゃべるスピードの重要性も教えていただいた。
 今回、実際にトレーニングをしてもらって、
 「何が自分にとって問題で、どうやったら効果的なのか」と
 いうことを身をもって学ばせていただいたのが、私にとって一番の
 収穫だったと思う。

 もちろんその後の自分の努力が重要であることは言うまでもないが、
 一人でやっているとどうしても、客観的に自分の問題点を見つめる
 ことは困難だ。

 自分の実態をいやでも見つめさせられるこのトレーニングは、精神的
 にも“キツイ”けれども、楽しかったなとも感じている。またしばらく自主
 トレーニングを積んだ後に参加させていただけたら、と思っています。

                               島田文恵


 My ひとこと
 文恵さんの「お手本の発音と自分の発音とのあまりの違い」は、発音が
 まずいのではなく、まずい聞き方が原因。だから、聞き方を修正すると
 すぐに改善できるのです。

 これまでに、豊富に蓄えた「アイディドントなになに」的な音の影響は強い 
 ので、しばらくは丁寧に聞き、丁寧に再現する練習が必要。
 しかし、コツをつかめばそれほど期間はかからないでしょう。

      
  
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