30 On Training Reports


  #6
ハイランドさんの場合  カウンセラー
  
  ハイランドさんは

  「スクールカウンセラーをしています。」
  一年ほど前から、精神療法(カウンセリング)の勉強をつっこん
  でするには英語が必要であり、なおかつ、精神療法は人と人と
  の言葉のやりとりが主であるため、やはり発音ができるようにな
  りたいと思うようになりました。

  30音トレーニングを行っているが、
  「間違って覚えていて、それが癖になると困る、という思い
  が強くあります。」

  ということでトレーニングとなりました。



 30音トレーニング 体験レポート
はじめに

 英語は受験勉強でやったくらいで、読むことは少しはできても、発音
 やリスニングはかなり苦手です。そこで、UdaさんのHPを見たり、
 30音DVDを購入して自分なりに練習をしてきました。

 それでUdaさんが頻繁に強調しているカタカナ発音の欠点、例えば
 「マイペース・イントネーション」、
 「英語を日本語の口の形で発音する」
 「母音が強く、子音が弱い」

 などが自分にもあり、それを改善するためには

 「お手本をそっくりそのまま聞き取り、再現できるようにする」ことが
 必要であることは頭では解っていました。
 「少しはできてるんじゃないか」とも恥ずかしながら思っていたのです。

 ところが、実際に発音トレーニングを受けてみると、それらがぜんぜ
 んできていない(解っていない)ことが解りました。
 こういう私のような人は、意外に多いのではないでしょうか。

 そこで直接教えていただいた中でも、初心者でも実行しやすい
 改善方法を中心に体験レポートを書いてみました。


  課題文を録音

 まず、9つの課題文を読んで、それを録音し、nativeの音声と比較しま
 した。そこで指摘されたのは次のような点でした。

 1. 個々の発音の問題という以前に、イントネーションがマイペース過
    ぎる。

 2. 「声が暗い」。

 3. 単語ごとにブツブツと区切っていて、なめらかにつながっていない。

 4. 子音が弱く、母音が強い。

 5. 「開く音」が短い。

 6. L,M,N,Sが弱い。

 7. 開く音が狭すぎて、狭い音は開きすぎている。

 「これではリスニングが苦手なのも無理はない」とのことです。この点
 は「けろっぴさん」の体験レポートが参考になります。他にも指摘をさ
 れたところはありますが、以下、上記の7つの点に関して具体的な問
 題点と改善方法を挙げていきたいと思います。


 1.マイペース・イントネーション

 「抑揚が全体的に平坦で、どの単語も同じような強さで発音している」。
 そのため、外国人が話す日本語を、日本人が聞いたときに感じる奇妙
 さと同じように奇妙に聞こえる。

 また、どの単語も同じ強さで発音されるので、不自然。さらには、本来
 弱く発音すべき単語が強くなっていたり、強弱が逆になっていたりする。
 つまり重要な単語を強く発音すればいいのだが、それができていない。

 これを改善するには、DVDやHPでUdaさんが言っているように、一つの
 文を細かく区切り、一つ一つお手本を聞いて真似ることが良いようです。
 また、その文で何を伝えたいかが判っていれば、どこを強く発音するか
 がわかるかと思います。

 トレーニングの中で、イントネーションに気をつけて発音を真似るように
 言われて、native の発話を聞いていると、話しているというより、歌って
 いるように聞こえてきました。

 それで、歌っているのを真似ようと思って聞いていると、なんとなくイント
 ネーションが真似しやすくなった気がしました。トレーニングの後、HPや
 『30音英語革命』(持っているだけで、使ってませんでした)を見ると
 「英語のメロディ」という言葉や音符を使って説明がされているので、
 「歌っているのを真似るつもりで」というのは、すでにUdaさんが言って
 いることかもしれません。


 2.「声が暗い」

 他の方の体験レポートにも同じような指摘を受けている方がいらっしゃ
 るようなので、結構大事な点かもしれません。日本人の一般的な傾向
 なのかもしれませんが、感情を押さえ気味にするのが良いマナーという
 のが身についているので、逆に、意識して明るい口調にしないと、余計
 にイントネーションが平坦になってしまうのでしょうか。

 「口調が怖い」というのも、緊張していているから余計に「命令・宣言口
 調」で抑揚のない喋り方になってしまうのかもしれません。

 この改善方法ですが、「眉を上げぎみにして喋ると良い」とのことでした。
 気持ちを明るくしようと意識するだけより、表情を作ることから入った方
 が効果的とのことです。表情を和らげるには、頬を和らげようとしがちで
 すが、そうすると余計に表情が硬くなってしまうで、“眉”が良いとのこと
 です。

 もう一つ、緊張せずにリラックスするということですが、これはトレーニン
 グ中に、細やかにお気遣いしていただいたおかげで、最後の方は緊張
 もほぐれていきました。
 (飲みかけのコーヒーカップを思わず握ったままで、課題文を何度も言っ
 ているという状況で、「カップを置いてから」と言っていただく場面もあり
 ました。)

 「感情を抑えずに」「リラックスして」に関連することかもしれませんが、
 ある方がトレーニングにいらしたときに、トレーニングの目的を
 「カッコよく喋れるようになりたいから」とおっしゃったそうで、それを
 Udaさんは「とても健全な動機」と評していました。
 
 確かに、あまり生真面目に目標を考えるより、「カッコよく喋る」のを
 目標にした方が、感情を抑えず、抑揚をつけて喋れるようになるため
 には良いのかと感じました。


 3.単語ごとに区切って発音してしまう。

 何度も「区切らずに、つなげて」と注意され、私自身はつなげている
 つもりで喋っているのですが、OKになりません。

 ”My aunt stopped the car to get the box.” の ”car to” が
 途切れてしまうところでは、
 「”car to”と”cart”は同じ発音、”cart”と発音するつもりで」
 とアドヴァイスされて、やっとOKがもらえました。

 「こうするのが正しい言い方だ」
 「ここに注意しなければいけない」
 と、頭では判っていて、自分ではやっているつもり。
 実際にはできていない、という良い例でした。

 「単語と単語をつなげる」という意識では不十分で、それぞれの単語
 を一つの単語と思って発音するくらいの意識でやらないと、私のよう
 な発音初心者にはできないのだぁと感じた次第です。


 4.子音が弱く、母音が強い。

 これもいつも強調されているところですが、私にはできていませんで
 した。

 それで30音DVDを観ながら、「ささやきトレーニング」を実際に指導
 していただきました。その際、ささやき声で課題文を読んで、それを
 録音したのですが、それを聞いてびっくりしました。

 その録音では、ささやいているようには聞こえず、むしろこれまでに
 なく native っぽく聞こえたからです。
 つまり「ささやきトレーニング」で、ささやいている時の母音と子音の
 バランスが、nativeの発音により近いということです。

 「30音DVD」を観たときには、「ささやきトレーニング」はあくまでトレ
 ーニングの一つの方法。それでは母音は弱すぎて、子音は強すぎ
 るので、トレーニングの後に「普通に発音する」ことで native の発
 音に近くなるのだと誤解していました。

 子音と母音のバランスがある程度正しく発音できる人には、
 トレーニングの後に普通に発音することで、ちょうど良いバランス
 になるのでしょう。

 しかし私のような初心者には
 ささやいている状態での母音と子音のバランスが、native の標準
 的な母音子音のバランスである。

 “普通の発音にする”と元のように子音が弱くなってしまう。
 ささやき発音のままで、母音を正確に発音していこう、
 ぐらいな意識でやるとちょうど良いようです。


 5.「開く音」が短い。

  もっと長く発音する。「開く音」は意外と長い!


 6. L, M , N, S が短く弱い。

 これらの問題点を改善するには、その音だけ意識的に長めに言っ
 てみるというトレーニングが良いと感じました。
 例えば、
 shouldn’t は ”shouldnnnnnnnn’t” と発音してみるように言われて、
 やってみました。そのあとで native が発音する”shouldn’t” を聞くと
  ”n” の音がモヮーンと匂うかのようにはっきり聞こえてきました。

 それまでは”n”の音がかすかにしか聞こえなかったので、その聞こ
 え方に従って、かすかに”n”を発音することになっていたようです。
 発音されている音がはっきり聞こえていれば、発音もはっきり
 できる。少なくとも、はっきり発音しようとするようになでしょう。

 そう考えていくと、
 お手本をそっくりそのまま聞き取り、再現できるようにするには、
 まず正確に聞き取れること、そして正確に聞き取れるためには、
 正確にその音が発音できることが必要なようです。

 ある音を正確に発音するためには、どうしたらいいか。
 まずは、30音DVDなどのトレーニングの仕方が具体的に示されて
 いるもので練習する。

 その際、注意することは、私がそうなのですが
 ある程度できる、と思っている音でも抜かさずに練習することでしょう。

 そして自分の発音を録音して、お手本と比べてみる。

 Udaさんにトレーニングをしていただいて、
 やはり要所要所では、発音ができる人に聞いてもらって、
 「ここはできてない」
 「ここはできている」と指摘してもらうことが必要だと感じます。


 7. 開く音は狭すぎ、狭い音は開き過ぎ。

 「開く音」では顎は下げるが唇はあまり下げない
 (これはDVDで指摘されていることです)。

 しかし、どうしても顎はあまり下げずに、唇が下がってしまいます。
 手間を惜しまず、鏡で口の動きを見ながら発音しなければいけない
 なと思います。

 「狭い音」については、
 「普通に日本語の音を言う感じ」と書かれているので、これならでき
 ていると思ったのですが、「唇が下がりすぎ」と指摘されました。

 トータルでは、アゴの下げ方が日本語のままなので、
 「開く音と狭い音の区別がはっきりしない」とのことでした。

音読のやり方

 今後はUdaさんに言われたたように、30音DVDに出てくるような短
 い文を「そっくりそのまま聞き取り、再現できるようにする」という練
 習をたくさんして、基本的な力をつけたいと思います。

 音読練習をやる場合、最初にお手本を聞いただけで、その後は
 文の暗唱を繰り返す、というのを私はやったのですが、それでは
 「お手本とはズレた音をベースに、さらに音読する」ことになり、
 結果的に、練習するたびに
 「発音とイントネーションが変わってしまい、覚えにくい」そうです。

 お手本を聞いて、自分でも言って、またお手本を聞いてというのが
 良いようです。詳しくは『やさしい音読講座』を見てください。

 自分の発音を録音して、nativeの発音と比べることは必須です。
 自分の下手な発音に直面するのは嫌ですが、できてないことを知
 ることで、どこを改善していけばよいか解ります。

 また、お手本と同じ速さで言っているつもりでも、
 「実際はお手本より遅くなっている人がほとんど」なので、お手本
 より少し速めに言うつもりで練習した方がよいとのことでした。


 ■できないと思われていることを、適切に訓練することで、
 できるようにさせて、自信を持たせる。


 はじめて聞いた時には、速くてぜんぜん聞き取れなかった映画の
 セリフを「できるだけ早く言えるように」、何度も練習しました。
 結局、発音はOKにはなりませんでしたが、その後でセリフをあらた
 めて聞くと、ずいぶんゆっくり喋っているように聞こえました。

 ほんの5分ほどの練習で、最初は不可能だと感じられたものも、
 練習次第で、はっきり、しかもゆっくり聞こえるようになるのです。
 だまされたと思ってやってみてください。けっこう感動します。

 このトレーニングは皆さんになさっているようですが、重要な点は、
 単に速くて聞き取りにくい文が聞き取れるようになるだけでなく、
 そうできるようになりたいが、できるはずがない、と思われてい
 ることを、適切に訓練することで、できるようにさせて、自信を持た
 せることにあるように感じました。

 30音トレーニングを行った 小・中・高校生が native のように発音
 しているのを聞きましたが、それも同じ目的なのでしょう。

 改めて考えれば、
 「日本人には聞き分けたり発音できない、できなくても仕方ない」
 と言われていた母音や子音を、適切な訓練をしさえすれば、
 「短期間にできるようになる」、
 と主張なさってきたのがUdaさんなのでした。

 私はカウンセリングの仕事をしているのですが、今回トレーニング
 を受けてみて、同じようことをやっているなと感じました。

 今の困った状況を変えたいけど、変えられずはずがないと思って
 いる人を援助する時に、

 まず、相手ができそうなところを、適切なアドヴァイスをして、
 やらせてみる。

 相手ができるようになると自信を持つ。
 その自信をもとに、
 もう一歩進んで、さっきよりやや難しいことに
 チャレンジしてもらう。

 そうするうちに困ったことが減り、なおかつ困った上でも
 自分なりに改善できるのだという自信を持つ。
 という具合です。


 できていないところは「できてない」と伝え、その上で具体的で実行
 可能な改善方法を示せば、相手は嫌には感じないものですし、ちい
 さなことでも出来ているところは「できている」とほめる。

 ときに「nativeと同じようです」と言われ、「持ち上げ過ぎだな」と感じ
 ながらも、気分が良くなってやる気がでた私でした。

 「女子高生は男子に比べて“かっこよく英語が喋れる”ことに価値を
 置いている人が多い。それが実現すると自信を持ち、他の教科の
 成績も向上する」と、“英語発音トレーニング・カウンセリング”も教
 えていただきました。英語の発音方法だけではなく、物事への取り
 組み方の姿勢についても教えていただいたようで、今回のトレーニ
 ングは本当に実り多いものでした。

  最後に

 定刻よりも一時間近く遅れて到着した上に、半分は30音DVDの
 活用の仕方を教えていただくような形になってしまい、Udaさんに
 は申し訳なく感じています。

 それでも私としては今後の練習の仕方が判ってとてもためになりま
 した。たった2枚の「30音DVD」ですが、その中には宝がたくさん詰
 まっていて、その通りに練習すればかなりの効果が得られる、と、
 あらためて思いました。

 もう少しマシになったら、またトレーニングをお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
 

 My ひとこと

トレーニングの再開以来、ハイランドさんは10人目。開始時間が
ずれて、やや不安な状態で始まりましたが、さすがカウンセラー。

言おうとしていることを「こういうことですね」と解説して頂き、
「30音DVD」、ホームページの説明不足を痛感してしまいまし
た。徐々に補っていくつもりです。
 
ハイランドさんは恵まれた環境を活用すると、短期間にずっと
向上するでしょう。続報が楽しみです。

      
  
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