30 On Training Reports


  #56
飛嶋さんの場合
  
  「現在、都内の中学の英語教員です。
   r と l の区別と、b と v の区別ができるようになりたいです。
  前者は、語頭の場合は、ほぼ違いが聞き取れます。ただ、
  語中になると、とたんに区別がつかなくなります」

  ということでトレーニングとなりました。

 30音トレーニング 体験レポート

  学生時代から、自分なりには、ネイティブのお手本そっくりに真似て
  (いるつもりで)、発音練習をしてきました。でも、なぜか響きが違う、
  でもそれがなぜか分からない。その後、音声学も少し学び、ただ
  真似ているときよりは、ほんの少しは改善しました。それでもなお、
  やはりお手本のような音が出せない自分がそこにいました。

  留学経験もあり、ネイティブ並みの音を出せる同僚に教えを請うて
  も「いつのまにかできるようになっていたから分からない」とのこと。
  そんなときに出会ったのが30音のホームページです。見た瞬間目
  から鱗でした。何冊か読んだ音声学のテキストからは絶対に得ら
  れない、しかも極めて有用なポイントが紹介してあったからです。

  それからは、ホームページを見ながら、30音DVDやCD(練習帳)を
  使っての自主トレの開始です。ある程度までは独力でも進歩を感じ
  られましたが、それ以降は自分の発音でよいのかどうかという不安
  を抱えながらの練習でした。ですから、いつか Uda先生のトレーニ
  ングを受けたいとひそかに思っていました。


  トレーニング

  当日は、もうお一方と2人でのレッスンになりました。
  まず、課題文の録音をしました。「お手本とずいぶん違う。『赤』と
  いうつもりで『青』といっているようなもの」との指摘を受けました。
  「とにかくよく聞いて真似る」ようにと強調されました。

                      

  その後、個々の課題文について、問題点の洗い出しが始まりました。
  指摘を受けた点は主に、   

  1. 文末の子音が「間延びしている」。子音の速度が遅すぎる。

  2. /l/ や/r/は、上歯茎裏の「ドーム上の空間」に響かせる。

  3. 二重母音( /ou/ や/au/)が遅い。もっと速く。

  4. /l/から次の音に移るときには「はじく」イメージで。

  5. アクセントのない音が強すぎる。

    たとえば、All of us。 of の o の音がいわゆる「あいまい母音」だが、
  これを「弱く、速く」発音しようとすると、どうしても強くなってしまう。した
  がって、of の o の音があたかも「ない」ように、つまり、/l/のあとすぐ
  に /v/の音がつづいている、というつもりで発音して、ちょうどよい
  加減になる。

                      

  課題文の「ダメだし」が終わると、今度は別の文をつかって
  「ささやきトレーニング」。これにより、当初よりも母子音のバランス
  が改善。

  次に、お手本よりも少し「速く」発音するトレーニング。速く言えるよう
  になると、お手本が、不思議なくらい、とても分かりやすくきこえる。

  また、同時に、英語の「響き」について。意外に「鼻音」になるケース
  が多いことには驚き。「鼻音」的な「響」かせ方ができるようになると、
  聞き取りやすくなることが分かった。

  今後の練習方法としては、100文ほど、波形ソフトを用いながら、
  極力そっくりに真似る。真似できたあとは、お手本よりも速く言う
  訓練をするようにとのご指摘を受ける。


  今回、ご指摘を受けた点に特に留意しながら、日々の練習に励みま
  す。またいつか先生にさらなる「ダメだし」をしていただける日まで。
  このたびはどうもありがとうございました。


 My ひとこと

飛嶋さんの個別の発音はほとんどOK。R もOK。プロのナレーターのように
深みのある声が持ち味。主な問題点は不自然なイントネーション。これは
英語を細かくていねいに聞けばすぐに改善できます。 

恵まれた声を活かしての活躍が大いに期待されます。
      
  
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