30 On Training Reports


  #49
さとしさんの場合
  
 3年位前のTOEICは900点前後。

 「学校教育を除いても、もうかれこれ10年近くも英語を勉強して
 います。数年前、自分の英語が実践の場面で使えないという事態
 に何度か遭遇し、勉強の仕方を変える必要を痛感。

 在化学系企業でプランニングの仕事をしており、プロジェク
 トの内容によっては英語をしばしば使います。

 (正しく発音しているはずなのに)
 どうも不自然さが抜けきらず、録音した自分のナレーションが
 聞き取れないという非常に悲しい事態さえ起こっております。
 今回藁にもすがる思いで」、ということでトレーニングとなりました。

 30音トレーニング 体験レポート

 まずは先生宅に事前にご送付していたカセットテープの波形ソフト
 による診断結果から。

 自分は先生の初期の本からの愛読者であり、曲がりなりにも発音
 練習は続けてきたという自負があったため、その波形を見た時に
 は本当にショックを受ました。

                    

 それは、非常に緊張に満ちた、単調な波形でした。自分では
 抑揚をつけて、スピードも変えながらお手本を真似していたつも
 りであったにもかかわらず、それはまさしく日本語の話し方その
 ものを示す波形であったのです。

 先生によると、その人の英語の理解度・熟達度は、英語の音読
 によって十分すぎるほど分かるそうなのですが、「あなたは英語
 を日本語に変換して理解していますね。英語を聞くとき音ではな
 く、意味を拾っているでしょう?」とずばり診断されてしまいました。

 私はスカイパーフェクTVにも加入し、暇さえあれば、BBC等の
 英語放送を聴いているのですが、「このような理解の仕方では
 折角外国放送を聞いていても英語として全く蓄積できないでしょ
 う」と憐れまれてしまいました。

 つまり、私は英語を聞いていても、それを日本語に変換して理解
 してしまっている、英語ではなくまさにジャパニーズイングリッシュ
 に変換して理解しているのだということなのです。

 道理で私のTOEICのスコアは3年位前から900点前後で伸び悩
 んでいるわけです。先生によると900点というのは、ジャパニーズ
 イングリッシュでも何とか到達できるのだそうです。しかし900点
 の壁を超えて更に上に行くには、英語を英語として聞き取り、理解
 し、蓄積できなくてはいけないそうなのです。

 人によってはジャパニーズイングリッシュでもTOEIC満点をとる方
 もいるような気がしないでもありませんが、しかし、こと映画や英米
 圏でのネイティブ同士の何気ない会話を聞き取ることができるよう
 になるためには、英語を英語で理解することが必須なのだろうなあ、
 と改めて思いました。

    

 さて、ちょっと漫談気味なってきたので、先生のレッスンから
 得た最重要ポイントを簡潔にまとめたいと思います。

 .まず、英語だからといって身構えたり、緊張したりしないこと
  (これは私だけが当てはまることなのかもしれませんが、人と
  人とのコミュニケーションにおける基本ですので、あえて書い
  ておきました。)

  これを防ぐ一つの良い方法として、眉毛を上に上げ気味にして
  話すように、とのアドバイスがありました。(余談になりますが、
  声優さんたちは眉の動きによって声に表情をつけるそうなのです。)
  心当たりのある方は是非真似をされると、思いがけず自分の声が
  明るくなっていることに気づかれるのではないかと思います。

 .次に、相手の言っていることを良く聴くこと、相手を受け入れ、
   尊重すること

  英語、いや語学の学習は一言で言えばこれに尽きるわけですし、
  誰しもがそんなの当たり前ではないか、と思っていると思います
  が、実はこれが非常に難しいことなのです。特に成人した大人
  にとっては。
 
  そして、本当に自分が相手の言い方等を真似できているかどうか
  をチェックするのに良い道具、これこそが先ほどから述べている
  波形ソフトなのです。

  お手本の波形と自分の波形を比較し、一音一音チェックしていく。
  この作業を地道に続けていくことにより、自分一人でも英語の
  個々の発音、リズムを習得できていくのだとのことです。

 .2に関連するのですが、ネイティブの話し方を完全に真似仕切る
   ことによって、ようやく英語を日本語に変換することなく英語の
   文脈で理解できるようになる素地ができるということ(つまり
   スタート地点に立てるということですね。)

                    
     
 さて、まとめますと、先生のレッスンを通じて、如何に自分がどっ
 ぷり日本語の環境に漬かっているかということについて改めて
 気づきました。と同時に真似するということの難しさ、日本語の
 フィルターを取り去ることの困難さを再認識しました。

 それもこれも全ては、波形ソフトが示す容赦のない事実、そして
 その事実をもとに誤りを的確に指摘された先生のお陰であります。

 先生のトレーニングによって現在の自分のポジションをしっかり
 認識することができました。これより先は、先生のご指導に従っ
 て、波形ソフトの示すお手本と自分の波形を頼りに、一文一文
 ネイティブの真似に精力を傾けるのみです。そして、この方法に
 従えば英語を英語のままで理解できるようになるということを示
 す生きた証拠となれればと願っております。その時にはまた改め
 て先生にお便りを差し上げたいと思っております。


 My ひとこと

さとしさんは律儀でまっしぐら。よほど意を決しなければできない
真剣さで練習を重ねる人。個々の音はほとんど問題なし。が、
英語の聞き方と力み過ぎは大問題。

お手本を真似ていると言うが、実際はほとんど聞いていない。
多分、内容を瞬時に理解してしまうので、イントネーションや口調、
つまり言葉としての「音」がどこかに抜けてしまう状態。
(単語は同じでも、文のニュアンスは大違いという状態)

放置しておくと大問題だが、原因がはっきりしているので改善は容易。
トレーニングのポイントは、相手の声をそっくり聞き取り、声を出すとき
には力を抜くこと。
      【】普通は子音は強く、母音は軽く、という練習が必要。  


上に述べた特徴を波形で紹介します。ざっと眺めてください。

トレーニング前
   1〜5は異なる文。それらを同じように発音している。
   文頭だけが強く、それ以降は日本語的な平坦なリズム。

トレーニング後
  英語らしいイントネーション、強弱になっている。

まとめ
力まずに、相手の声(口調、気持ち)を聞くようにすればすぐに本領を発揮
できるでしょう。


      
  
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