30 On Training Reports


  #33
tanuki さんの場合
 
  tanuki さんはヨーロッパに滞在中。

  「かねがね、発音トレーニングを受けたいと考えておりましたが、
  今月末、日本に一時帰国するチャンスがあり、スケジュールを
  やりくりすると、一日フリーの日を作ることができました。

  こちらに赴任して2年半がたちました。さすがに、赴任当初より
  はマシな状態ですが、それにしても、自分の英語力にストレス
  を感じる日々です。

  日系の会社なので、オフィスでは周りの方が日本人英語に馴
  れていて、何とか通じるのですが、外部との交渉や雑談となる
  と、聞き返されたり、通じないこともしばしば。

  ボイスレコーダに自分の声を録音して聞いてみると、悲しくなっ
  てしまいます。
  どうして、イントネーションをそっくりまねる、というのが私には
  できないのでしょうか?
  ”子音を強く、母音はささやく”のも未だにできないでいます。

  毎日、練習は少しずつしているのですが、何かを根本から変
  えないと、同じ状態が続くだけではないかと、考えている今日
  このごろです。」

  ということでトレーニングとなりました。



 30音トレーニング 体験レポート

 今から2年半前、欧州赴任が決まった私は発音診断してくれる
 ところを探していた。当時、TOEIC 810点、英検準一級。インター
 ネットで30音のホームページを見つけ、さっそくテープを送付。

 診断は、例によって、母音が強すぎる。
 「Sir, please come up and look at the word.」の課題文に至って
 は「イントネーションが…」とコメント不能のご様子。

 その後、uda3部作を購入して欧州赴任。一年が過ぎるも、あま
 り達したとは思えず、uda先生にメールで相談。思いもかけず、
 「電話で聞かせてください」との返事。海外に住んでいる特権か。

 緊張して電話。さっそく課題文。

 私:「○X△」
 先生:「母音が強すぎます。ささやいてみてください。子音を強く」
 私:「○X△」
 先生:「あなた、ささやけないんですか?」
 私:「…」
 先生:「練習して、また電話してみてください」

 それから、2週間。言われたことに気をつけて練習し、まぁ
 こんな感じかな、と電話。

 先生:「全然、変わってません。同じ発音を聞いても時間の無駄
     ですので、できるようになったらまた電話してください。」
 私:「…」
   そんなこと言われても、自分では変わっているつもりなんです。

                      *

 その後、発音ビデオもDVDも購入し、それなりに練習したつも
 りだったが、自分の発音にあまり変化なし。uda三部作 + ビデオ
  + DVDの全てを揃えている私は熱心なuda信者であるが、その
 教材の全てを揃えてもこのレベルというのは教祖のuda先生に
 とっては信じがたい(?!)存在かもしれない。

 浮気性の私は、uda信者といっておきながら、最近は別の勉強
 方法を試みていた。それは、NHKのラジオ英会話のCDを購入し、
 気に入ったフレーズをボイスレコーダーに録音。それをまねる、
 という練習。が、真剣にまねればまねるほど、お手本とかけ離れ
 ていく。真剣にやった時ほど、翌日自分の録音を聞き返して、
 愕然とするということを繰り返していた。

 発音に進歩の感じられない私はあせっていた。とにかく、はっ
 きりしているのは、このまま同じことを続けてもだめなこと。何か
 根本から変えなくては。

 そんな折、目に付いたのが、「催眠英語学習CD」。催眠状態
 で英語を聞くと英語脳になってネイティブのように話せるように
 なる、とかいうやつ。科学がバックグラウンドの私としては、プラ
 イドが傷つくものがあったが、そんなことを言っている場合では
 ない。

 uda先生の発音トレーニング代より高いお金を払い購入。しか
 し、心地良い音楽に続き、最後に「私はネイティブのように話せ
 るようになる」というフレーズが入っているだけのCDに唖然。
 とんだ、寄り道。

 そうこうしている時に、2週間の一時帰国をすることになり、
 これは発音トレーニングを受けるチャンスとスケジュールを調
 整。何とか1日空きを作り、uda先生に「この日でお願いします」
 と無理やり押しかけ、トレーニングとなった。

 今回のトレーニングの私の目的は、大きく二つ。一つ目は、
 練習する時に留意するポイントの優先順位を掴むこと。DVDの
 中に述べられていることを全てマスターすればいいのであろう
 が、いかんせん、DVDは私には密度が濃すぎた。重要なことが
 全体に満遍なくちりばめられているので、そのどこに今、自分
 が気をつけて練習しなくてはいけないのか、自分のいる位置
 を知りたかった。

 もう一つは、自分でできてるつもりで、実際にはできていない
 ところを指摘してもらうこと。

 さて、トレーニング当日、岩井駅に到着後、先生のご自宅の
 スタジオへ。早速、課題文。
 先生の第一声は、「電話で聞いたときから、ほとんど変わって
 ませんね」。

 トホホ…
 指摘されたのは、

 (1) イントネーション。強弱とスピード。
 (2) 子音が弱い。
 (3)  開く音の a と o ができていない。
 (4) i が「イ」になっている。
 (5) r の発音ができていない。ter を tah で置き換えている。

 特に、(4)はトレーニング中、何度も指摘された。頭の中で「i」
 を「イ」に自動変換していたようだ。最初、何を指摘されている
 かわからなかった。

 「先生、お手本もイと言ってます。」 

 が、よく聞くと違っていた。
 これは、指摘されなければ一生気づかなかったかもしれない。
 私の一番大きな問題は、お手本の聞き込みが雑なこと、と、
 その状態で発音練習を繰り返していたこと。

 「音声をきちんと認識できていないから、まねることができない。
 きちんと聞いてからまねる。それまでは、むやみに声に出さない。
 そうでないと、発音がぶれるだけ。」これが、先に述べたボイス
 レコーダーに録音して練習する時に、うまくいかない原因でした。

 そういえば、日本語で会話する時も、「人の話をちゃんと聞いて
 いない」、と同僚からよく言われる。これは関係ないか…
 お手本とどこか違うのがわからない、というのは私の悩みの
 一つであるが、先生曰く、「ネイティブとどこかが違う、というの
 にも色々あり、声質が違うといわれても困る。映画スターと顔
 が違う、と言われているようなもの。」ふむ、ふむ、そりゃそうだ。
 でも、先生、どこまでが声質の違いで、どこまでが発音による
 違いなのか、私、区別がつかないんです。

 ir の発音は苦戦。
 「ir の発音ができていない。r で唇を突き出す。ドナルドの形。」 
 「こうですか?」
 「それはひょっとこ。もっと唇の脇を絞る。」
 「こうですか?」
 「そんなに私を見つめない。帰ってから、自分で鏡をみて練習
 してください。」
 「…」

 ささやきトレーニング。これは、DVDを見てもよくわからない
 でいた。なぜ、子音だけ強くささやけるのか。音ごとに別々に
 発音している時はともかく、単語を発音している時に、子音だ
 け強く発音することがなぜできるのか。これって、母音を鼻と
 喉で発音するようにすればいいんですね(DVDでもそう言って
 いる。)

 子音も、想像以上に強く発音されていることに気づいた。
 DVDでもしつこく述べられているが、トレーニングを受けるま
 では、その強さを実感できなかった。トレーニング後、ネイテ
 ィブの話すのを聞いて、その強さを再認識。

 「Sの音が弱い。もっと強く。」
 「こうですか?」
 「息の音が漏れている。もっと鋭く。」

 この辺の指摘が、自分だけでやっていては、わからないところ。
 その場で直してもらうとわかりやすい。

 また、単語と単語の間を区切って発音していた。これもDVDにあり。
 DVDを見直すと、指摘されたのは、DVDの中で言われていること
 ばかり。DVDをまじめにやれば良いというのが、結論でした。

 でも、これってトレーニングを受けなくては、理解しがたいと思う。
 トレーニング後、DVDが全く別物に思えます。

                     *
 
 早読みトレーニング。「この文を1秒で言ってください」。他の多くの
 人が、このトレーニングについて経験談に載せていたが、何のこと
 やらわからず無視していた。しかし、実際やってみて驚いた。
 練習した後で聞くと、例文がスローモーション。音の変化まではっきり
 聞き取れる。摩訶不思議な体験。ネイティブはこうやってちゃんと聞き
 取っているんですね。

 肩に力が入っていたせいか、先生から「休憩しましょうか」
 「コーヒーでも飲みますか」とやたらと息抜きを薦められる。
 しかし、私はそれどころではないのである。
 この数時間のトレーニングの中で、今後どのように練習してい
 くのか、その方向性を見出さなくてはならないから、休んでいる
 場合ではない。で、結局、力みすぎて終わってしまいました。

 さて、トレーニング後、気になっていたことを質問。
 「先生、今日、最初に私の発音を聞いた時に、以前電話で聞いた時と
 変わってない、とおっしゃいましたが、なぜ、一年半も前に電話で聞い
 た私の発音を記憶されていたのですか。何かに録音されていたとか。」

 「いいえ。だって特徴あるでしょ。」
 「トホホ。そんなにひどいですか…」

                      *

  紹介していただいた民宿に泊まり、翌日成田へ。

  民宿の料理はとても美味でした。
  お忙しい中、トレーニングにお時間を割いていただき
  ありがとうございました。


 My ひとこと

     人一倍練習に励む tanuki さんの問題点は、お手本の音を自分の音に置き
     換えて聞いてしまうこと。だから努力が報われない。

課題文
トレーニング前 個々の音、イントネーションともに未完成。初心者とは異なり、
蓄積があるので改善には手間がかかるが、何とかなるでしょう。
今回のトレーニングは「聞き方」を改善することがメイン。
Amy さんの見つめ方、聞き方は会得したでしょうから、もう
大丈夫、のはず。

ささやきトレーニング後
      
  
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