30音トレーニング
浦部先生の体験レポート
浦部先生は 「英語の資格は,英検1級,TOEIC 975(L490, R480), TOEFL 637等です。 先日、通訳案内業国家試験(通訳ガイド)の3次試験の発表があり,無事合 格しました。これで,英語関係の資格については6つ目になりますが,まだま だ英語のプロと呼ばれるには勉強不足」 という方で、「ホームステイ完全マニュアル(CD付)」,東京書籍の著書です。 |
個人レッスンを受けた後,学校の仕事や通訳ガイドの研修会等 でなかなか時間がとれず,もう10日経ってしまいました。今,振 り返ってみると,せっかくいただいた細かなアドバイスも記憶が 薄れてしまい,的確な体験レポートになっているかどうか心配な 面があります。もし誤解しているところがありましたら,ご指摘く ださい。 ■ 発音について新たな発見が多々ありました。 長く高校で教えていると,知らず知らずのうちに,学校の中だけで しか通用しないような独特の発音になってしまっていることを強く 認識させられました。カタカナ英語の再生産をしていることになる わけですから,これで生徒に教えていたかと思うと恐ろしくなりま す。 その意味で,今回,個人レッスンを受けて,自分自身の発音矯正 と生徒への発音指導に対して多くのヒントが得られたことに大変 感謝しています。 ■ 大学時代は元NHKラジオ英会話講師の東後勝明先生から指導 を受け,自分なりの発音ができるようになったつもりでいました。 今まで,国内外で外国人とのコミュニケーションはほとんど問題は ありませんでした。 しかし,自分の発音とネイティブの発音を較べると明らかにどこか が違うということは気になっていましたが,自分ではどうしようもあ りませんでした。 個々の音については,発音関係の本を読み,マスターしたつもり でした。知り合いのネイティブに聞いても,遠慮があるのか,上の 問題を解決してくれるようなアドバイスは特にもらえませんでした。 ■ 実は,1月にロンドンに行ったときに, ある英語学校で,発音矯正及び発音指導に関する2時間の個人 教授をESLの専門家から受けました。 アメリカ英語とイギリス英語の違いから生じる部分の発音につい ては直された以外はほとんど問題なしということでした。 さて,前置きはこれくらいにして,レッスンのことについて書きます。 まず,10個の Basic Sentences を音読して指摘されたことは,
1. 読み方が不自然でスピードが遅い これは学校で教えていることと大きく関係があるように思われま す。 つまり,クラス全員で音読の練習をするときに,生徒がリピートし やすいように,生徒がつまづきやすい母音や子音を強調して発音 しているうちに,不自然な読みが習性となってしまったようです。 個々の音を強調するあまり,必要以上に長くなってしまったり, 母音と子音のバランスが悪くなっている,とのことでした。 こういう指摘は,他のどんな本にも書いていないことで,目から鱗 が落ちる思いでした。バランスを良くするため,スペルで1つずつ 発音して矯正すると,読みがスムーズにできるようになった気がし ます(断定表現を使えるようにするには,もう少し練習が必要)。 ■ また,教室で音読の練習をするときは, 意味の単位でポーズを置いて生徒にリピートさせるため,英文を 読むときに短い文であっても必要以上にポーズを置いてしまうこ とが不自然な読み方の原因になってしまっているようです。 これは,次に取り上げるイントネーションとも関連しており, できるだけ文全体のイントネーションを頭の中でイメージとしてつ かみ,それをマネて一気に読むようにすれば解決できるようにな ると思います。 2. イントネーションができていない。 私の読み方は,CDのモデル文と較べると,本来,強勢を置くべ き箇所に置かないで,これといった意図もなく別の箇所に強勢を 置いて読んでいるので,意味がわかりにくくなるということでした。 これは,モデルを何度も聞いて,そのイメージを頭の中にたたき 込んで練習したおかげで,トレーニング終了までには少しは改 善されたようです。 3. ノドだけで声をだしており,鼻に響かせていない 英語の発音では,鼻に響かせて,共鳴させて音を豊かにすると いう指摘も新鮮でした。 このことについては今までまったく考えたこともなく,言われてみ てモデルのテープを聞くと,確かに鼻に共鳴させていました。す ぐにはうまくいきませんでしたが,少しずつ慣れてきました。 リスニングでは,英語ニュースが聞きやすくなった気がします。 というのは,今まで自分が持っていた英語の音に対するイメージ が変わったため,実際に聞く音とイメージとしての音が近づいた ためだと思います。 4. R の音ができていない これは私にとって一番の難関です。 トレーニングの時間内ではマスターできなかったので,自宅で練 習してくださいと言われましたが,いまだにできているかどうか 自信がありません。 学生時代から は 「アメリカでは巻き舌にして音を響かせる。 一方,イギリスでは巻き舌にしないで発音する」 と教わってきました。 ですから,自分ではアメリカ式に巻き舌で発音するようにし,そ れで生徒にも長年教えてきました。しかし,アメリカでも R を巻 き舌にするのは中年以上の人であり,若者はそういう発音はし ないらしい,と言われ,今まで築いてきた自分の城がもろくも崩 れ落ちていくような感じでした。 「30音」にあるように,R を変化する音として発音することがで きず,どうしても舌が余分な動きをしてしまい,変な音になってし まいます。 頭の中では理解できたつもりでも,実際に音を出そうとすると, 連続音ではなく個々の音を続けて出しているにすぎず,ネイテ ィブの音とは遠く離れた結果で終わってしまいます。まだまだ 練習が必要です。 5. いくつかの音ができていない いくつかの音について指摘がありました。 特に,自分ではできていたつもりの school の l が「できてい ない」と言われたときはショックでした。 また,saw を so と発音しているという指摘もありました。 ナチュラルスピードの場合、 for という前置詞を強形でなく,弱形で読むようにというアドバイ スも受けました。 前置詞は,普通,文末に来ない限りは弱形で読まれることは音 声学の知識としては持っていましたが,実際に英文を読むと,教 室での音読指導の悪い面が出てきてしまうようです。 これも,読みのスピードを遅くしている原因だと思います。 個々の母音や子音は「30音」をもっとしっかり読んで,CDで練 習すればマスターできそうです。 ■ 以上,トレーニングの感想を書いてきましたが,これを書くまで に少し時間が経過しているため,細かいところは失念してしまっ ていることはご容赦ください。 高校で教える者として,まず自分が正しい発音を身につける必 要性は常に感じていました。今回,個人レッスンを受けて, 「30音」を読むだけではわからなかった箇所や,イメージがつか めなかった箇所がクリアーになり,しばらくは自学自習できる自 信がつきました。 数ヶ月後にもう一度トレーニングを受けて,自分自身の進歩を確 認できればと思っています。ネイティブへの道は遠いというのが, 率直な気持ちです。 |
「まだまだ」、とか「道は遠いとか」はご謙遜で、それにして も極めようとする姿勢には敬服いたします。 |
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